戸田光太郎の2000年日記
- 2000年2月6日〜7日
2000年
2月6日(日)
リエは風邪で寝ている。
サンドイッチを作る。チーズと薫製ハムと薄焼き卵とサラダ菜に少々のトマトケ
チャップとマスタードで。旨い。
リエのベッドにもラップ・トレイにサンドイッチを載せてオレンジジュースと紅茶
を横に並べてサーブする。バトラーである。僕はコーヒーを大量に作って飲ん
だ。
大仏次郎の「帰郷」を読む。◎。不思議な小説だ。オリジナルは終戦三年目の毎日
新聞連載で、すごくヒットした作品だという。心理描写と風景や外面描写のバラ
ンスの取れた十九世紀の小説作法に則っているが、終戦直後の日本人の心模様を
写して過不足ない。欧州文化の理解も深い。どういう来歴の人なのだろう?
大仏次郎は「パリ燃ゆ」や「天皇の世紀」を読んでいないので、これから楽しみだ。
「赤穂浪士」や「鞍馬天狗」もある。
文章を少し。
夕飯はベルギー料理にする。水に浸けて砂抜きしたムール貝の表面をゴシゴシ洗
う。セロリと大蒜と玉葱を大量に切ってチキン・ペーストで煮る。シングル・ク
リームと白ワインを加えてムール貝を入れて強火にし、貝が口を開けたところで
パンと一緒にサーブする。適当な我流なのでベルギー人とやり方は違うのかもし
れないが、旨かった。カルフォルニア産の白ワインの残りを飲む。
これを食べたのに、夜リエが空腹だというのでオムライスを作る。大蒜と玉葱と
キャベツにご飯を炒め、ベーコンとハムを加え、ポルトガルで買った原色が綺麗
な皿に整えて盛ってから最後に二つ分の卵を半熟に焼いて載せてご飯を覆い、ケ
チャップを派手に掛ける。
リエは、旨い、旨いと一瞬で平らげる。
油断した隙に僕は一口も食べられなかった。
彼女が風邪ひきであることを除いては平和な日曜日である。
2月7日(月)
- 東京のN社長と交信後、局長秘書のアンナマリア経由で伝言。
大沢在昌「シャドウゲーム」○。軽いけど、読ませる。大沢は80年代初頭から読
んでいる。今回はあの頃の佐久間公のシリーズと後の新宿鮫の要素が混在してい
た。
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