戸田光太郎の2000年日記
- 2000年2月8日〜9日
2000年
2月8日(火)
- ここんとこロンドンは曇天と強風に雨である。鬱陶しい。時々晴れるのが、これ
また憎い。
東京から電話。アメリカ英語を話すのでアメリカ人だと思っていたら、スウェー
デン人。日本に24年も住んでいるという。最後に向こうが下町の日本語で喋っ
たので僕はスウェーデン語で挨拶を返して驚かれた。ずっとスウェーデン人の番
組制作スタッフに囲まれていたからだ。
旧上司Sに連絡し、明日は昼食。
夜はトンカツを作る。旨い。肉はあの店に限る。
赤井邦彦著「F1紀行」読了。△。村上龍との対談部分が一番面白い。目黒孝二著
「活字学級」。○。目黒氏の私的な部分は初めて。
2月9日(水)
- 朝、シンガポールから電話。
昔の上司、英国人Sと「瀬戸」で昼食。
彼は生まれてすぐカナダに住んだという。ギリシアにも少年の頃にいたので、去
年僕がギリシア旅行した時には色々とアドバイスしてくれた。大学ではフィレン
ツェにいたのでイタリア語が出来る。パリには8年間住んでいた。ロンドンにし
ばらくいてシンガポールに4年ほど。今はロンドンだが、数年したらまたどこか
に行きたいという。
「いつかどこかに落ち着くということはないの?」
「ずっとこうしてきたし、ずっとこうしていくと思う」
「でも64歳になったら?(と、ビートルズの歌詞にかけて聞く)」
(笑う)「64歳になっても」
「次はどこ?」
「ポーランドには興味あるね。経済的な伸びはすごいし、メディアも面白い状況に
ある」
「メディアでなければいけない?」
「いや。インターネットを含めてメディアは面白いからいるだけで、例えば全て売
り払ってベトナムに住むという考え方もある」
「ベトナム好きだね」
「素晴らしい国だ」
「世界を見た者として本を書いたりは?」
「しないな。家具を作りたい。ベトナムだったら日本円で二千万円あれば十年間、
優雅な暮らしが出来る」
「僕もどこかでインターネット作家になって優雅に暮らすから、ベトナムに遊びに
行く。そういう英国人は珍しいんじゃないの?」
「いや。オランダ人もそうだけど、広大な旧植民地の歴史を持つ民には、そういう
輩が多いよ」
「そういう民をなんて言う?」
「総称はない。インターナショナル・ピープルくらいのもんで」
「英国のインターナショナル・ピープル間での交流は?」
「それぞれの国の人間は固まるからね。駐在員人種は。でも周辺でも混合は少しず
つある。でも、まあ、シンガポールにいたころ平日は目一杯働いていたので、週
末になるとゾンビーだった。週末に他人と会う気はしなかったしね」
「今は」
「週に二回は社交生活をしているよ」
夜はカツ丼をリエに作って、文章書いて読書。
大沢在昌「アルバイト探偵」。△。作家というのは色々と書き散らして本当に大変
な商売である。
2000年2月6日〜7日
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