戸田光太郎の21世紀日記 2001年

2001年1月10日〜1月17日

2001年
1月10日(水)

早朝に起きて部屋を片付け洗濯。
9時に迎えのハイヤーが来て空港に向かう。
上海に向かうSQ便で「候補者ビル・マッケイ」を2回も見た。合計で10回は見て
いる。☆。傑作だ。「市民ケーン」「カサブランカ」「タクシー・ドライバー」「ゴッ
ド・ファーザー」「ディア・ハンター」「北北西に進路をとれ」「季節の中で」「パリの
恋人」「椿三十郎」「男と女」などと並ぶ。
知られてないのは残念だが、この映画はケネディーを下敷きにクリントンを予言
したし、政治家と政治の戯画としては最高だ。まだこれ以上の政治映画は作られ
ていない。感服。というようなことを機内で書いているうち、上海に着陸した。
日系企業某社の出迎えが来ている。運転手だけでなく、日本人社員の方が来てく
ださって感激。
この方が音楽好き、サルサ絡みでキューバに新婚旅行しているというので驚い
た。
下手なプレゼンをしてから三人で日本料理屋へ。伊藤屋とある。
女の子の従業員が元気でのりのりなのに驚く。
上海の路上には日本人の女の子みたいなのもいる。格好からは判別できない。
食後はホテルに帰り、風呂に入ってから外出した。
南京西路を歩く。反対側にハードロック・カフェまである。上海まで来てハード
ロック・カフェでもないだろう。
路地に入っていい感じの酒場に飛び込む。
バーテンや従業員と話して得た情報:
上海郊外で訪れるべきところとして彼らがあげた。
「はんじょう。木偏に坑のツクリ。それに州」
「西湖・シーフー」
「是隠寺・レインツー」とかいっていた。下二つははんじょうの近くだという。
店が閉まったので結局、ハードロック・カフェに入る。
と、20代後半くらいの顔立ちはいいが、ちょっと荒んだ感じの女性二人組みが
ストゥールに腰掛けた僕に体を押し付けてきて英語で話し掛けてきた。
「あなたたちは誰ですか?」と簡単な英語で聞く。
「わたしたちはディスコ・ガール」
「何それ?」娼婦ではないのか?
「飲み物買って」
バーテンに二人分の飲み物を頼んだ。
「お金ちょうだい」
「お金はないよ」
二人は飲み物に手をつけないまま消えた。
失礼な奴らだ。
ホテルの部屋でウィスキーを飲んで寝る。

1月11日(木)


二日酔いだ。
オフィスに行って打ち合わせ。
あとはひたすらオフィスの前の通り(Huai Hai Zhong Road)を東へ歩く。
繁華な通りで西側の商品は全て揃っている。香港ほどではないが。
ずっと通りを東へいくと素朴な人々が増える。
昼を食べようと次々と店を覗き、小さな餃子屋に入った。
餃子4皿とビールで20元。260円。安い。
隣のテーブルにトレンディーなカップルがいた。僕が食べた餃子など「前菜」とい
う感じで、とてつもない分量を注文していた。しかも、女性の方は痩せた美女で
ある。
レストランを出たら靴磨きがいた。上海の道路が埃っぽいのでチャーチの革靴が
汚れていた。非常に丁寧に15分以上かけて磨いてくれて5元。65円。
そこらじゅうに伊藤屋はある。
おっと時間だ。
オフィスに戻ってスーツケースを回収し、タクシーを拾って空港へ。
飛行機で酔っ払う。
上海にはもう行く機会はあまりないような気がする。

1月12日(金)


二日酔いだというのに忙しい。
会議と提出書類に時間がかかるのが煩わしい。
夜はリエとシンガポール高島屋で待ち合わせて「とん吉」でがっちり食事。
彼女に服を買う。

1月13日(土)


リエはギャラリーへ。
土曜日なのに出社。冷房が効く12時までだが。
餃子を食べる。同席したシンガポール人女性がアーサー・アンダーソンで日本企
業も担当している人とあさひ銀行で日本語を操っている女性だった。中国人への
お年玉アンパオの仕組みを教えてもらった。同僚女性社員は「既婚の人は未婚の人
にアンパオを出さなくてはいけなくて、相場は8ドルよ。奇数はだめで偶数ね。
でも4は不吉なので駄目」と言っていたので、100人独身がいれば8x100=
800ドルか、と驚いていたのだ
が、これは嘘だった。近しい助手や秘書に出すだけで、2ドル、6ドル、8ド
ル、そしてせいぜい10ドルだという。彼女達も職場でもらった最高額は10ド
ルだという。
クラークキーの大丸で買い物してワインを飲み、リエが食べたいと言っていた和
食路線で夕食を作る。
ご飯、納豆、ほうれん草の胡麻和え、胡瓜の浅漬け、豆苗を大蒜と胡麻油で炒め
たもの、シラスと大根卸し、などなど。好評であった。

1月14日(日)


リエはギャラリーへ。
僕は家でワインを飲んで読書。大沢在昌「心では重すぎる」読了。○。佐久間公シ
リーズも「雪蛍」までかもしれない。主人公がこんなに鈍重なオヤジになってしま
うと辛い。「ドルの向こう側」の頃のリュー・アーチャーの文学性を狙っているの
か。届いていない。村上龍「希望のない国のエクソダス」も、わけのわからない若
者の生態を描こうとして後半にコケているけど、この小説も後半が弱い。
日本酒とワイン。飲みすぎた。
カレーを作ってギャラリーから帰ってきたリエと食べる。

1月15日(月)


中華圏に住む日本人のために敢えて額を書いておこう。
先日のシンガポール人女性二人、アーサー・アンダーソンで日本企業も担当して
いる人とあさひ銀行で日本語を操っている女性のアドヴァイスに従って、秘書と
サポート・スタッフにお年玉をそれぞれ20ドル、赤い袋アンパオに包んで渡
す。いつも親切なお掃除おばちゃんには10ドル。三人とも非常に喜んでくれた
ので良かった。

1月16日(火)


会社の帰りにリエとMRtオーチャード駅で待ち合わせ、久し振り「南都」。
もろきゅうとししゃもと僕は天麩羅蕎麦、リエはハンバーグ定食。
周防監督の「がんばていきまっしょい」をVCDで見る。綺麗な映画だった。○。

1月17日(水)


リエは風邪気味で具合が悪いという。
彼女の好きな、うどんに卵と長葱と蒲鉾を入れて食べさせてから出社。
仕事の後で電話すると学校もギャラリーも休んだリエがワインを飲みたいという
ので、買い物に寄る。ボンゴレを作ろうと思ったが、貝が売っていない。あさり
を大蒜で炒めて白ワインで蒸す、という計画は忘れて烏賊とボジョレー・ヌー
ボーを買ってトマト・ベースのスパゲティーにした。緑は、豆苗を炒めて卵を落
としたもの。ボンゴレ構想が崩れたためか、あまり旨くない。残念。
病人に合わせて早めに就寝。







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