戸田光太郎の21世紀日記 2002年

2002年4月16日〜18日


2002年
4月16日(火)

朝起きてプールで泳ぐ。
で、出社。雑用に追われる。
家ではリエが夕食を作る。肉じゃがとサラダと茸ご飯。それをキリン一番絞りとボ
ジョレー・ヌーボーで。旨い。
CDでシューマンのピアノ曲集、『子供の情景』を聴く。「トロイメライ」はやは
り、いい。リエも弾けたそうだが、僕も中学生の頃はこのピアノ曲が弾けた。技巧的
には非常に簡単なのだが、凄く上手いように聞こえる「お得な」曲の一つである。ま
た練習したい。
赴任先の賃貸物件情報をチェックしてリエは盛り上がっていた。

4月17日(水)

系列の子供向けテレビ局の韓国での展開をアメリカ人Rの個室で、彼とシンガポール
人の既婚美女Eと話す。
僕の秘書Cと、アシストしてくれてるCとその女性ボスGとで、僕がシンガポールを
出てからのコミュニケーションの問題を話し合った。ホワイトボードに図を引いて。
なんとかなるだろう。
直後にマンチェスター育ちの香港チャイニーズ男性Jとインド系シンガポール女性K
が加わって今年の9月にあるアメリカでの音楽イベント絡みの打ち合わせ。今年、会
場はニューヨークからLAに移るようだ。去年は僕がニューヨークに行った直後にあ
の事件があった。
夕食はリエの作ったローズマリーでマリネしたラム・チョップと茸のパスタ。ボル
ドーを飲む。
洗濯しながらVCDで本木雅弘主演のドラマ「スタイル」を見る。2000年の作だ
から本木35歳である。しぶがき隊で、ふっくんは、つちやかおると結婚して消えた
し、やっくんこと薬丸は情けない顔して朝の主婦向け番組「はなまるマーケット」に
出ているし、一人本木だけ、いかにも現役である。少年隊でも東山だけ突出している
し、そういうものなのか? いや、たのきんトリオのマッチと田原とよっちゃんは全
滅で、むしろ三人では一番お尻で生きてきたよっちゃんこと野村義男がギタリストと
してじりじり伸びてきた感じはある。

4月18日(木)

夜、M社の新車発表パーティーにアシスタントの中華系シンガポール人C嬢と行く。
Dさんに挨拶。日本から来ていたKさんに挨拶。
奥の関でC嬢と会社での噂話など色々話す。
彼女は二人の兄と二人の姉の末っ子である。
父は6年前に死んだそうだ。
「お父さんのことで何を一番思い出す?」と僕は聞いた。
「父はドック入りする船の修繕をしてて、酒も飲まない無趣味な人で、いつも何故か
インドの番組を見ていたわ。もう一つのテレビで母は中華系の番組を見てるのに」
「タミール語はわからないんだろ?」
「それどころか、父は英語もわからないのに、理解できる中国語チャンネルは見な
かったの。で、私も父とインドの番組を見ていた」
「あの、歌と踊りと悲しみと笑いと死と誕生が必ず盛り込まれたインド映画?」
笑った。「そう、そう」
「他には何を思い出す?」
「昔、家族は田舎の広い家にいて、庭も広かったの。で、父はオフになると、庭に出
て、ぐるぐると隣近所の人に声をかけて話し込んでいたんだけど、そういう時に私は
足元にまとわりついていて、その光景を覚えているわ」
「いいねえ」
「あとね、父が寝転がって何か手仕事してる時に、わざと膝をぴくぴく動かすのよ、
そこだけ生き物みたいに動くんだけど、私はそれを見てお腹を抱えて笑っていた」
「お父さんも受けを狙ってぴくぴくさせたわけ?」
「そうなの」
「心温まる光景だな」
会場を出てC嬢とインド系カフェに入って軽く食事し、MRTで帰った。大丸で、い
つまでも売れ残っているボジョレー・ヌーボーを買って飲んだ。







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