戸田光太郎の2000年日記
- 2000年1月16日〜18日
2000年
1月16日(日)
リエが見たいと言っていたヴェトナムが舞台の映画「Three Seasons」を見に午後、
メイフェアに出た。ところが日曜日だけは13:30からの上映がなく、次は
16:00だということを劇場で知り、ハイド・パークを散歩した。
晴天だが、かなり寒い。池に水鳥。
ナイツブリッジに出てハロッズ向かいの「リショー」でアフタヌーン・ティーをす
る。体が暖まり、再びハイド・パークを散歩してメイフェアの「CUZONシネマ」で
「Three Seasons」を見た。
僕はこの映画、感動した。実は感極まって泣いてしまった。鳴咽してしまったほ
どなのでとても恥ずかしかった。
東西問題と南北問題が清らかで力強い物語、流麗な映像、抑制された優れた演技
によって立体的に描かれていて、胸を揺さ振られた。
ヴェトナムのような深い文化を持つ国をフランスやアメリカが蹂躪したのは許せ
ないことだ、とも思った。こんなに心動かされたのは、有色人種としてアングロ
サクソンの会社で肩肘張って生きてきたことも関係しているのかもしれない。
非常に美しい映画なのだ。映像は抜群である。俳優もいい。全く背景知識なしで
見たのだが、脚本と監督が「トニー・ブイ」とあったので、アメリカで生まれた二世
だろうと想像した。ハーヴィー・カイテルが出演してるだけでなく、エグゼクティ
ブ・プロデューサーとしてクレジットされているのにも驚いた。無名の新人の作品
に出て出資するとは、目配りのいい、野心的な俳優である。
後で知ったのだが、これはサンダンス映画祭でグランプリと観客賞を受賞してい
る。しかも、トニー・ブイというのが若干25歳であるというのに驚いた。
すごい才能だ。オーソン・ウェルズが「市民ケーン」を撮影した年齢に近い。
こういう才能が出てきたことは、そしてこのように非ハリウッドな視点を持って
プロフェッショナルな仕事をするとは、非常に喜ばしいことだと思う。
多くの人に見てもらいたい。
なんてことをアイリッシュ・パブでギネスを飲みながらリエと話す。
チャイナ・タウンに移動して「ニュー・ダイアモンド」で夕食。
- 「Three Seasons」公式サイト:
- US: http://www.octoberfilms.com/threeseasons/index.html
JP: http://www.iijnet.or.jp/ASMIK/M/Ace/1999/ThreeSeasons/index.html
- その他:
- http://atclub.co.jp/1st/movie/p991220.html
- http://www.sankei.co.jp/databox/paper/9812/25/mov/review/99/three_seasons/index.html
- トニー・ブイ氏の素顔(!?):
- http://www.tv-tokyo.co.jp/bangumi/cine-tu/tv16program.html
- 評論:
- http://www.so-net.ne.jp/cinet/mail/hw_990423.html
- 脚本を読みたい方は:
- http://www.kadokawa.co.jp/bunko/contents/199912/1518.html
1月17日(月)
- 出社。
元上司のSと相談。弁護士と電話。
スティーブン・ハンター著「大距離射程? Point of impact」読み終わる。ハン
ターの物語なんて、とても読みたくないな、と思ったのだが、やっぱりアメリカ
のエンタテインメントは凝った作りになっていた。○。すごい、とは思うけど、
痺れるような感動はない。こんなフォーマット通りの物語は25歳が監督した
「Three seasons」の前では空しいと思うな。
1月18日(火)
- 出社。
人事部と電子メールでやりとりするときは弁護士に相談した。
コチラをやりながらアチラもやって、なおかつアレもしてコレもして、夜は読書
して文章を書く。酒飲んで良書を読むのが一番いいのだけれど、そればっかりで
も退屈だ。
人間:それは「ないものねだり」な生き物。
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