戸田光太郎の21世紀的香港日記 2003年

2003年2月24日〜2月28日


2003年
2月24日(月)

二日酔い。
非常に気分が悪い。
リエに電話すると調子が悪くて何も食べてないというので、ふと見た新しい店で、チ
キンライスなどをテイクアウェイにした。店の主人が香港人で英語が達者な人で話し
込んだ。ファンド・マネージャーをしながら趣味で相棒のシンガポール人(テーブル
に座って白人と話し込んでいたスーツの男。で、彼の相棒が家のチキンライス・レシ
ピを持ち込んできた、という)とで先月オープンしたのだという。香港人の彼はずっ
とニューヨークにいたらしい。ニューヨークの話で盛り上がった。彼が自信ありとい
う料理をただで付けてくれて僕は帰宅し、リエに顛末を話して包みを開けて食べた。
ごく普通の味だ。
僕らが住んでいたシンガポールはビシャンのホーカーズ・センターのチキンライスは
絶品で、それに敵うものではなかった。どんなに思いが強くとも、レストランの道は
険しい。
僕らはワインを飲み続けた。

2月25日(火)

昨晩名刺を交換したNY帰りのファンドマネージャーからメールが届いている。
二日酔いだ。
朝早くから出社して頑張ったが、遂に午後にはダウンしてしまった。
非常に気持ち悪い。

2月26日(水)

朝から集中して働く。
午後2時にはオフィスを出て空港に向かう。
4時のCX便で東京に向かい、夜9時過ぎに成田に着く。
ホテルにチェックインしたのは11pm頃。
一人、繁華街に出て軽く飲む。

2月27日(木)

東京のT社事務所で懸案事項をシンガポールと香港から追跡。
昼はT社のNさんと二人で社外に出て生姜焼き定食を食べる。旨い。
「ここは、きちんとした料理を出すんですよ」とNさん。
調査資料などを準備して某社に何度目かの説明に行く。
某広告代理店でミーティング。
オフィスに戻って各所へ連絡。
夜は某代理店との打ち上げをする。
僕は一緒にお昼をしたNさんを人質で残し、2次会で引き上げて午前2時半にはホテ
ルに戻った。

2月28日(金)

朝、ホテルで僕の携帯に、英国人上級福社長Cの携帯から電話が入る。いくつか確
認。
出社すると昨晩あれからT社の新人Nさんは代理店の人々と朝5時まで飲み、マクドナ
ルドで朝食を摂りながら午前9時まで眠り、出社したのだという。お疲れ様。
僕は10:30にはN社長とN副社長とオフィスを出て六本木のANAホテルへ向かっ
た。
会議室を借りようとすると4万円もすると言われたので3階にある和食レストラン
「雲海」に個室を予約した。こちらの部屋代は9000円別に取る。昼定食はざっと
5000円である。会議室よりは安い。
英国人上級福社長Cが到着し、通訳Mさんを通じて長い長い会話を持つ。
更に「雲海」の個室に席を移して長い会話は続く。
午後3時に会計して日本の系列局に出向く。
会議室に行くと、ちょうどシンガポールから出張してきた英国人CEOのFが会議の締め
に入っていた。拍手があがり、日本人社員に取り囲まれたFを、ビル前に駐車してい
たN社長の車まで案内する。F社長は着実に権力の基盤を固め、日本の系列局とオース
トラリアの系列局まで傘下におさめた。日本人N社長はこれから成田まで英国人F社長
と通訳を通じて話し合う。英国人上級福社長Cと僕のロンドン時代の上司で今は日本
の系列局にいる英国人Sが同乗した。
僕はT社副社長Nさんとオフィスに引き返した。
ニューヨークのアメリカ人Hは本日でリストラされるし、その上司だった弁護士の資
格を持つアメリカ人Gも失脚した。
目まぐるしい。我々はいつも「来年はどうなるかわからない」という会社で生きてい
る。今はどこもそうだろう。昔には考えられなかった。
オフィスに戻ってきたN社長は、やれやれ、という様子だ。
英国人CEOのFの発言が、ちぐはぐだったようだ。
前途多難である。
勢力図は刻一刻と変化している。
僕自身も2000年1月12日にロンドンでリストラ宣告を受けているし、この業界
は3ヶ月で変化し、半年で顔ぶれが変わり、一年で一変する。そして我々は年間契約
を更新するプロ・スポーツ選手に似ている。
僕のある同僚は入社18ヶ月経った今でも結果が出ていない。非常に焦っている。彼
女は泣いていた。
どうしたらいいのか、と。このままでいけば彼女はクビになるだろう。なんとかしな
ければいけない。
久しぶりにT社N社長とN副社長と3人、絵馬亭で食事する。
とろろと麦飯。味噌汁。豚生姜焼き。タン。角煮。などなど。旨い。
今週も終わってしまった。月曜日に再びビジネス・プランを書くことにした。
部屋でテレビを見て眠る。




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