戸田光太郎の2000年日記
- 2000年3月10日其の2
2000年
3月10日(金)其の2
- (承前)
- 荷物をホテルに預け、MRTでタナ・メラ駅まで移動。バスでタナ・メラ・フェ
リー・ターミナルへ。ビンタン島までの往復チケット(S$45)を買って食堂で
ビールと野菜炒めと焼き蕎麦。野菜は相対的に高い。
インドネシア領への出国手続きの列、僕の前に、きゃあきゃあ騒いでいる二人組
みの女の子がいる。二十歳そこそこか十八くらい。肌は浅黒く、フィリピン人の
ように見える。体からいい香水の匂いがするし、身なりはキチンとしている。と
いうより、帽子やタンクトップの生地もいいし、スリムなパンツの仕立ても上等
だ。バッグはヴィトン。日本人みたいにブランド武装している。
二人は似ているが姉妹ではない。仲の良い友達だろう。金持ちの娘か、金持ちの
風俗嬢か。無邪気なはしゃぎぶりは影のある風俗嬢のそれではないが、はしゃぎ
過ぎの様子は良家の子女ではない。新興成り金の娘か?
税関の係官も二人のキャピキャピぶりが微笑ましくてニコニコしていた。
高速フェリーは45分でビンタン島に着いた。
迎えのバスでマナマナ・ビーチクラブにチェックイン。バンガローに荷物を落と
し、冷房を入れてショーツに着替え、ビーチタオルを持って、クラブに貴重品を
預け、浜へ出た。
椰子の木。砂浜。青い海。太陽。リゾートだ。
泳ぐ。海はそれほどクリアじゃない。ロタ島のようにシュノーケリングは楽しめ
ない。
オープン・エアのバー・レストランでバーボンのダブルとビールを飲み、太陽のも
とで昼寝。極楽だ。
目覚めて浜を端から端まで歩くと、先ほどのフィリピン系の女の子二人がいた。
砂浜に大きな将棋板のような桝目を書いてケンケンと片足や両足で飛んでいる。
とても無邪気に、笑い転げながら。風俗嬢という線を消した。無邪気な子供だ。
日本の石蹴り遊びみたいだが、石はない。
「それはお国のゲーム?」と僕は声をかけた。
一人は警戒の眼差しを向け、もう一人が言った。「そうよ」
「フィリピン?」
え? という感じ。「タイよ」
そうか。タイ人だったのか。「じゃあね」と僕は散歩を続けた。
バンガローに帰り、シャワーを浴び、バー・レストランでナシ・ゴレンとビールを
ジョッキ2杯。
ウェイターのエディーというインドネシア人がテーブルの横に立ったまま話し続
けた。彼はビンタン島出身。恋人は島の中心の町タンジュン・ピナンにいる。町ま
では車で2時間もかかる。実はビンタン島はシンガポールという小国よりも大き
いのである、地理的には。
日没を眺めた。
ジャングルに太陽が沈んでいく。
ひんやりとした風が吹く。
あまり暑くない。
シンガポールは夜も少々ねっとりしていた。
ロンドンやパリで仕事していたかと思えばシンガポールで面接していたり、イン
ドネシアやロタ島で泳いでいたり、移動祝祭日的人生である、と思った。
バンガローに戻ってテレビを見ているうちに爆睡し、起きると21:30になっ
ていた。やばい。レストランのラスト・オーダーの時間だ。
駆けつけるとキッチンは閉まっていた。
バーは開いている。
ビールをジョッキに2杯飲み、22:30過ぎに星降る海辺を歩いてバンガロー
に帰る。リエがいないのが残念だ。
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