戸田光太郎の2000年日記

2000年2月5日 

2000年
2月5日(土)


リエとリトル・ヴェニスのカフェでブランチ。
グリーク・ヨーグルトとカルボナーラとサラダという定番。飲み物はオレンジ
ジュースとワイン。
日本人の心性について話す。彼女の英国航空時代の話は強烈。
リエが、武の「HANABI」を見たいと言い出す。電話で調べてブリクストンだ
と判明。恐ろしい地区だと英国人が言うので今まで足を運んでいなかったが、
行ってみると非常に魅力ある所だった。
リッチーという映画館もなかなかお洒落。待ち時間にバーでキリンの一番搾りを
飲む。世界中のビールを置いている。
侮れないなあ。
「HANABI」は良かった。◎。台詞が少ない中で「切なさ」が際立っている。言
語化されない人間の切ない思いが伝わってきて、グッとくる。キオスクから武が
飛び出して殺人犯に殴られるシーンだけは全然納得できなかったが。武は、ヤク
ザを相手にしても沈着冷静な刑事なのに、この場面だけ、とても間抜けなのであ
る。これがなければ☆だったのに。
軍団も抑制されたいい演技をしていた。武の演出現場をいつか見てみたいな。
映画館を出てからブリクストンの市場を歩く。非常に面白い。今まで足を運ばな
かったのは愚かだった。90%はアフリカ人である。もうここはイギリスではな
い。外国の市場にいるようだ。活気がある。中華食材屋もあったが、これはソー
ホーの方が充実している。肉屋、香辛料屋、果物屋、八百屋。エスニックな食材
がずらりと並んでいる。アフリカ人は魚を食べるのだ、英国人と違って。魚屋が
一杯あって嬉しい。スケイト(Skate)とムール貝を買う。スケイトは、ガンギエ
イ科の魚だ。家に帰ってからご飯を炊き、納豆を作り、ざっとスケイトの表面を
包丁で整え、小麦粉を付けて油で揚げた。それを酢醤油で食べる。旨い。リエが
喜ぶ。「あなた、職人になれるわよ。私も給仕になって身を粉にして働くから、お
店開かない?」
失業者の料理上手は、それほど華々しい存在ではないな。
残ったスケイトの骨を再び油でカラリと揚げて塩を振り、お煎餅のようにパリパ
リ食べ、白ワインを飲んだ。
風邪をひいているリエは薬を飲んで寝る。
僕は原稿書き。




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