朝はシンガポールとTV会議。
昼は一人、北インド料理屋で食事をする。ここのところ、ずっとインド料理ばかりだ。
夜、リエと新しいサービスアパートメントをチェックする。なかなか立派な建物だ。香港とは思えない。インドネシアのリゾートホテル風である。
さて、どうするか。
向かいの「富」で和食を食べる。旨い。
九龍半島からフェリーで渡り、夜景を楽しむ。
香港島でタクシーを拾って帰る。
自宅からタクシーでワンチャイへ。
早く到着したので久々朝一番のマックでフィレオフィッシュの朝食。で、ワンチャイでミーティングした。帰りは地下鉄で帰る。
オフィスで仕事をしているうちに天候がどんどん悪化してくる。
秘書嬢Mが「これから2時間くらいでシグナル8が出るらしいの」という。シグナル8が出ると本格的な台風で学校もオフィスも閉まり、店は閉まり、公共交通機関も止まる。
「じゃあ、飛行機、危ないな」
「そう」M嬢は旅行代理店に確認するが、まだ僕の乗るはずの便はキャンセルされてないという。
時間が迫ってきた。地下鉄でアドミラルティーへ。
タクシーで帰ろうとしたのだが、これが同じように、帰途に着く人々で長い列となっている。タクシーがなかなか来ない。
延々と待って、ようやく来た。
リエに電話して僕の荷造りもしてもらう。
家に帰ってリエと一緒に車を拾って空港特急の香港島へ。
混乱状態であるが、まだ成田行きの飛行機は欠航にはなっていないという。
我々は明日の便を予約して諦めて帰った。リエは朝の便が取れず、仕事のある僕だけ先発隊で行くことにした。
と、シグナル8で帰途につく秘書Mから電話があった。「結局、欠航になりました」
空港まで行かなく良かった。
それを聞いてピザとサラダとワインをデリバリーしてもらい、リラックスした。
香港のニュース専門番組を見ていると、九龍半島の被害が大きい。香港島側の我々は特にそれほどの脅威は感じない。
早めに休む。
今日は早めに家を出る。
09:10の便も10:10の便も台風の影響でキャンセル。
チェックインする時に、妻が後でチェックインする時にはゴールドメンバーの妻として取り扱ってください、とマネージャーに言い置く。マネージャーは厳しい顔つきのハーフの美人で、綺麗な英国英語を話した。
昨日土壇場キャンセルされた16:05の便以来初飛びするのが11:10の便でこれに乗った。
滑走路は混んでいて30分遅れで飛び立つ。
16:45に成田に着く。
京成スカイライナーで上野へ。
途中で雷と豪雨で停電し、列車が止まった。日本では珍しいことだ。
やや遅れて会食場所の「梅川亭」に到着するとN社長とOさんがいた。Oさんは豪雨でびしょ濡れ、若い仲居さんから新品の靴下を渡され、感動していた。
うなぎは、旨い。
8:00に打ち合わせ。10:00に青山で最初のミーティング。
11:30に広告代理店とビジネスランチ。
オフィスに一度帰って16:00から葛飾でミーティング。
18:30からまた青山でミーティング。
5時に起きてホテルを出て地下鉄銀座線で新橋に出て浅草線で羽田空港へ。6:30になっている。駆け付けたNさんと7:00の便で広島に飛ぶ。8:15に広島空港着。この空港は初めてだが、山の中にあって市内に入るまでタクシーで14000円、一時間ほどかかる。朝一番の会議の後で新幹線で帰る。
15:00に東京着。
オフィスに帰に戻る。
Nさんの運転する車で16:00過ぎに市谷の青山スタジオの近くでレコード・レーベル系の人々と打ち合わせ、17:30頃には六本木に移動して系列局の向かいの喫茶店で広告代理店とうち合わせ後、向かいの系列局でトラブルシューティング(事故処理)。
Nさんが僕を赤坂ニューオータニで落としてくれた。リエの携帯に電話するとちょうど戻ったところ。
祖師ヶ谷大蔵を散歩していたという。
優雅に過ごしている。
13:00に動き出す。ホテルからタクシーを拾って新宿松竹へ。北野武監督「座頭市」を見ようとしたのだが、立ち見だという。仕方がないのでイタリア料理店でリエはミモザ、僕はビールを飲んでから「踊る大走査線2:レインボーブリッジを閉鎖せよ」を見る。
僕は最初の10分間で、これは最悪の駄作だと思った。一作目のような劇場映画としての緊張感が演出に感じられなかったからだ。物理的な規模は大きいが、ふやけている。脚本も演出も演技も。一時間我慢に我慢を重ねたが、それ以上は時間の無駄なのでリエに「もう耐えられないほどひどい出来だから出るよ」と告げた。
「かなりひどいわね。でも、私はもう少し見てみる」
「じゃあ、上映終了間際に迎えに来る」と出た。こういう劇場映画を汚すような、ふやけた映画は許せない、と思う。×だ。マスコミを使って煽って、滅多に劇場映画をみない人にこんな映画を見せてはマイナスである。へっぽこ源氏物語の「千年の恋」と同じくらい罪深い。こういう奴らは映画界から永久追放すべきだろう。
紀伊国屋で本を買って一時間半ほど過ごしてから(馬鹿映画を見るよりよっぽど有意義だ)映画館にリエを迎えに行った。
「最後までひどかったわ」とリエ。「でもね、テレビでシリーズを追っていた人には楽屋落ちがいっぱいあって楽しんでいたみたい」
深田と水野は相変わらず良かったが、肝心の織田、柳葉、いかりやと男優陣が凡庸以下の演技だった。広告宣伝で愚作を飾り立てて観客動員する映画配給システムに怒る。
打ち捨てられた娯楽? 日本映画。
口直しに武の「座頭市」を観ようとすると立ち見だったので諦めた。
久々カラオケをする。リエはソフトバレーを歌う。
起きて新聞を開くと北野武がヴェニスで監督賞を取ったと報じられていた。
テレビでそのニュースをチェックする。
お昼過ぎにニューオータニを出て赤坂を歩く。
叙々園に入った。昼の懐石定食を注文する。
旨い。日本の韓国料理は旨い。在日の人々が洗練させて独自の焼肉文化を作ったからだと思う。香港でもソウルでも有り得ない旨さだ。
タクシーを拾って神保町に出た。
林達夫の全集を七千円で購入する。これを読むのは骨だろう。
山の上ホテルのバーにリエを連れていく。ここの本物のレトロ感覚が好きだ。
リエはマルガリータ、僕はマティーニを飲む。
更にアイリッシュ・ウィスキーを飲む。
タクシーでニューオータニに戻る。
マッサージを呼んで二人とも揉んでもらう。と、爆睡した。
浜松に行く。
カンパチという老舗で鰻を食べる。
二社を訪問してから掛川から新幹線で帰る。
東京でレコード会社と打ち合わせてから、もう一つ青山で打ち合わせ。
仕事が終わってからニューオータニに戻るが、行き違いでリエと会えず。
夜遅くに六本木に出てリエの好物、一蘭でラーメンを食べる
ホテルに帰ると朝4時になっていた。
11:00に汐留で打ち合わせ。
夜は叙々園でグループディナー。
帰るとリエはルームサービスでカツ丼セットとサラダとケーキを食べていた。
「結構美味しかったわ。赤坂プリンスよりニューオータニの方が料理やサービスのソフトウェアーは充実していると思う」
6時に目覚ましとモーニングコールがある前に起きて僕は風呂に入った。
リエは起きてこない。
電気をつけ、カーテンを開け、テレビを点け、コーヒーを作って最後の荷造りをしているうちにリエが観念して起きた。
ベルボーイを呼んで荷物を運んでもらう。
「何時からのシフトですか?」と僕はベルボーイに聞いた。
「午前3時からで、今日は18時間です。時には24時間勤務もあります」
なかなか厳しい。タクシーに荷物を運んでくれる。この国ではチップはいらない。
タクシーは非常に煙草臭かった。
上野の京成まで乗る。
07:01のスカイライナーで成田空港へ。
チェックインしてからロイヤルでジャワカレーとビールとサラダを摂る。
本屋とCD屋を覗く。香港オフィスにお菓子の土産を買う。
10:00発のCX509便で香港へ。
13:35に香港に着いた。
疲れた。
香港の祝日である。
一日ゆっくり休む。
午後リエを置いてタクシーで赤柱(スタンリー)へ行く。
久々の香港局主導のコンサート・イヴェントだ。水上スキーのイヴェントとコンサートがドッキングしたもの。
帰ってから映画を見る。
日本映画をVCDで二本見る「連弾」と「スカウト」。ともに○。
シンガポールと会議。殺人的に忙しい。
殺人的な忙しさ。
こういうのは良くない。
殺人的な忙しさ。
息することさえできない、という感じ。
夜、リエが夕食を作ってくれていた。旨い。
「レピッシュ」の古い懐かしの映像から最新コンサートまでVDVで見る。リエが渋谷で買ってきたものだ。ビールの他にワインを二人で二本開け、リエは悪酔いした。
殺人的な忙しさ。
夜、リエがオフィスまで来る。
魔界チョンキンマンション3階にあるインドレストラン「THE DELI CLUB」で夕食。旨い。非常に辛いが。
近所のライブ酒場でFさんのバンドのブルースを聞く。
深夜を回っていたのでタクシーで香港島まで帰還。
準備して広告代理店に皆で行き、プレゼンテーション。
帰りにインド料理を奢る。
殺人的な忙しさ。
ひたすら休む。
ひたすら休む。
8:55のCXでシンガポールへ。
12:45には到着。
チェックインしてから本社で会議。
16:00から外で会議。
09:00から会議。
12:15にビジネスランチ。
また会議で夕方の便でシンガポールから香港に戻る。
11:00にミーティング。相手があまりに自分に似た人なので驚く。彼も驚いていた。そういう人は世の中に三人いるらしいから残りは二人だ。彼と昼を一緒に食べる。
エリック・シーガルの処女作とその次の作をペーパーバックで立て続けに読んだ。語り口が面白いのだ。
のろのろ起きてから正午過ぎにタクシーを拾って地下鉄アドミラルティー駅から門コックまで行き、KCRで羅湖へ。
深浅に入るのは初めてだ。
それほど混んでいない。
歩いてシャングリラホテルへ。ここで飲茶する。美味しい。でも、500元というのは多分、高い。
歩いて東門に向かう。
ロンドンで買ったBALLYの短ブーツがかなりくたびれているので修理してもらおうと路上の靴屋に頼むとこれがなかなか曲者で面白かった。
違法行為なので警官が路上に立つと、ピュ−っと消え去るのだが、またそろりそろりと戻ってきて商売を始める。
僕が靴を修理してもらっている時にも制服警官が現れ、彼らは僕を促して表通りから引っ込んだ所に誘い込んだ。暫く待機しろという。そのうちに、そろりそろりと修理し始める。古タイヤをセメダインで貼り付けて周りをナイフでカットしていくというプリミティブな作業である。BALLYは鳴いていることだろう。最後に吹っかけ始めた。300元だという。僕は警官のところに行ってリエの中国語通訳で「彼らに300元と吹っかけられたが相場はどう思うか?」と聞いたが、制服警官はへらへら笑っているばかりだった。靴屋の集団は喚いている。さっきまで尻尾を巻いて逃げていたのにどうしたのだろう? わけわからない。相場もわからない。とにかく6分の1まで負けさせて50元を払った。
それでも高い気がした。ちょっと歩いているとオーバーナイトのスーツケースが売っていた。50元と書いてある。スーツケースが50元なら靴の修理が50元では高い。ぼられた。今頃あの靴屋集団は店じまいして酒を飲んで祝っていることだろう。「本当に日本人はとろいのお!」と笑いながら。でも何だか路上靴屋のたくましさが面白かった。
東門の商店街を散策する。海賊VCDで田村正和のTVシリーズを買った。
タクシーを拾って西武デパートに行く。
つまらない。がらがらだ。こんなブランド品は誰も買わないだろう。
あの駅前商店街に戻ってショッピングする。
リエはロレックスとティファニー。僕もロレックス。(この偽物は後日動かなくなった)。
福建焼き飯など中華を食べる。
今日一日、それなりに楽しめた。
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