戸田光太郎の2000年日記

2000年4月6日

２０００年
４月６日（木）

リエは昨晩から眠れずにずっと読書していたようだ。今は爆睡している。
僕は一人でそっと起きだし、１０階のラウンジで朝食を摂り、新聞で小渕氏の病
状を確認し、午前１０時には閉まってしまうラウンジの朝食コーナーでコソコソ
とリエのためにサンドイッチを作って部屋に運んだ。
ようやく起きたリエは紅茶でサンドイッチを食べる。
ちょっと抜けている不動産屋は遅れた上に書類を間違えていた。タンジョン･パ
ガーの事務所ビルの下まで行き、事務員が書類を中国系女性Ｊに手渡し、ようや
くＪの日産でビシャンの物件を再見することになる。
大丈夫かい、この人達は。
数々の物件を見た後で、こうしてビシャンの新築コンドミニアムを見ると、色々
と不満はある。
リエは狭いと感じたようだ。
僕は大きな通りのノイズが気になった。
が、相対的に、やはり、この物件がいい。新しいし、プールとジムとテニスコー
トはあるし、ＭＲＴ駅のそばで大丸と映画館がある。
我々は家具候補の写真を検討し、｢安っぽくなくて、でも華美ではないシンプルな
ミニマリスム的な家具｣と指定した。
Ｊの日産でホテルに引き返す。
もう正午が近い。
荷造りし、１０階のラウンジでチェックアウトする。リエはラウンジのＰＣでＥ
メールをチェック。
で、１２：３０にはタクシーを急がせてタナ･メラのフェリー発着所へ向かった。
チケット売り場でに駆けつけて購入してから構内のレストランで食事。
中国系の中年女性と交渉して、大皿に載っているものではなくて、調理場で料理
したものをすぐ運んでもらうように頼む。
これが、やけに旨い。
麻婆豆腐の豆腐が高野豆腐のようで品がいい。他には中国野菜炒めと香港麺と焼
き飯。
ビールで食べた。
旨い。
テラスのテーブルで食べていたのだが、空模様が怪しくなって大雨になった。桟
橋と向こうのフェリーが雨に煙る。
チェックインした。
桟橋から連結する階段が揺れる。フェリーに乗り込んだ。
船窓の向こうは雨に煙っている。
４５分間、僕もリエもうつらうつらした。
大雨が降りしきる中、シャトル･バスでマナ･マナ･ビーチハウスへ。緑が濃い。花
が鮮やか。
更にスコールは強まった。
チェックインしてからクラブハウスで借りた傘をさしてバンガローへ。
部屋は清潔で、天井には南国特有の鷹揚に周る大きな扇風機があり、冷房が効い
ており、テレビもある。リエは喜んだ。
シャワーを浴び、ベッドで寛ぐ。
僕は久保優子著｢いまどきのシンガポール生活｣を読む。△。
夕方、二人でカフェ･レストラン向かう。
天気は悪いが、庇の向こうに白い砂と青い海が見える。
ビールとナシゴレン。
中国系マネージャーＰがテーブルに来て挨拶した。
彼がインドネシア語と中国語と英語の他にフランス語が出来る理由がわかった。
１９８０年代にジュネーブのホテル学校に通っていたのだという。
カリキュラムは、半分が米国流（マクドナルドのマニュアル風）で、半分がスイ
ス欧州流（サービスの心、的なアプローチ）だったそうだ。その実地訓練でジュ
ネーブのホテルのカフェでボーイをしていると可愛い女の子達が着た。二人の白
人と一人の東洋人で、この三人は他のテーブルが空いているのに、青年Ｐの持ち
場が空くまで辛抱強く待っていた。で、三人がようやくテーブルに着くと、東洋
人女性がＰにタイ語らしきもので何か聞いた。
わからない。Ｐは知っているタイ語を喋った。｢私はタイ語を喋れません｣
インドネシアのビンタン島でスコールの降りしきる海を眺めながら中華系シンガ
ポール人のマネージャーＰが僕らの前で笑うのである。｢スイスにいる中国人の僕
がタイ人の女の子にタイ語で、タイ語が喋れない、と言ったので、彼女は爆笑し
て、僕も何だか愉快になって、今でもそれは覚えています｣
勘定書きがテーブルに来る。清算が間違えていた。Ｐは慌てて正しい勘定書きを
持ってくる。謝った。｢サインする前にチェックすることはいいことです｣
そりゃあそうだ。
部屋に戻って鈴木康子著｢シンガポール：長期滞在者のための現地情報｣読了。
○。情報が豊富で良かった。
少しうとうとする。
夜にもう一度起きてカフェからテイクアウェイする。リエにはフルーツ。僕は
ミーゴレン。

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