戸田光太郎の2000年日記

2000年7月1日〜4日

２０００年
７月１日（土）

土曜出勤する。女性社員がほとんど出社しているのに驚く。君達には青春がない

のか？

同僚のＳもいた。この根性には呆れる。勤勉なのは日本人だけではない。

僕のように７０年代に１０代だったシラケ世代は今一番危ないと思う。

僕らは根性がない。やる気もない。シラケてきた。

それが、ここにきて、日本経済が悪化した上に、根性があって、やる気があっ

て、シラケてもいない人間が台頭してきているのだから、危ない。

僕の体の中にも世代的なそれがあるから、シラケを退治しながら、どうにか生き

ているわけだ。

（いいじゃないの、そんなにガツガツしなくてもさ）というのが高度経済成長の

渦中にあった先行世代へ対する我々の態度だった。

今はビル･ゲイツ的価値観が蔓延していて不愉快である。

なんか、もう、山頭火や芭蕉のようなヒーローが出てきてもいいのではないだろ

うか？

かといって家でのんびりする生活も１月から味わって退屈したのだから、僕は贅

沢でもある。

夜はリエとホーカーズでブラックペッパー･クラブ。

７月２日（日）

リエとオーチャード通りの高島屋に行き、丸善や紀伊国屋で本を買ってかた｢とん

吉｣でトンカツを食べる。

フランス人、ギリシア人、イギリス人、カナダ人、アメリカ人、イギリス人、

と、国際的な学友に囲まれてわいわい勉強していたリエが突然、仕事漬けの夫の

元で、太陽とプールはあるものの、一人ぼっちになっていかに寂しいかというこ

とを切々と訴えられる。

可哀相だが、僕は今、仕事に没頭するしかない。

確かに今年の１月から５月にかけて僕は家に必ずいる人でもあったわけだから、

更に事情は輪をかけて１８０度転換してしまったわけである。あんなにロンドン

で毎日｢戸田メシ｣を料理していた僕も、ここ１月半ほど一切料理をしていない。

シンガポールの外食は安くて旨い、ということもある。

何か上手い方法を考えなければいけないが、まず、仕事に慣れる必要はある。

リエが一人で冒険したという隣り町アン･モ･キオに行く。確かに商店街が延々と

続く。ＶＣＤを買う。木村拓也の｢ビューティフル･ライフ｣全巻だ。これがたった

の１７シンガポール･ドル。１０００円くらいのもの。海賊だろう。

中華料理屋でブラックペッパー･クラブを食べる。旨い。

７月３日（月）

同僚の女性Ｂが消える。

先週、机で仮眠して朝の４時まで働いたというから、あの辺から切れてきたのだ

ろう。

蛸部屋である。

Ｂの上司Ｇと解決する。会社を出たのは夜の１０時過ぎ。

７月４日（火）

Ｂは消えたまま、無断欠勤だ。

上司のＧも朝９：３０から真夜中まで働いていると知る。

英国人Ｄと、ロンドンで最も恐れられていた厳しいプロデューサー，アメリカ人

Ｐの話をする。オーストラリア人Ｍも加わり、会議。

帰宅するとリエがお冠。

退屈で寂しい、ということだ。

二人でＶＣＤの｢ビューティフル･ライフ｣最終回まで見る。

北川女史の脚本は旨い。泣かせる。キムタクは、やっぱり、かっこいい。

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