戸田光太郎の2000年日記

2000年8月31日〜9月8日

2000年
8月31日(木)

早朝から遅くまで働く。帰宅してからプールで泳ぐ。
就寝前に村上龍「不思議の国のエクソダス」読了。前半、☆印の勢いの本だった
が、終盤、△へと尻つぼみ。総合では○だが、やはり、村上以外、誰もこんなも
のは書けない。

9月1日(金)


番組制作部署と打ち合わせ。アメリカ人クリエーター、英国人制作局長、中華系
シンガポール人プロデューサー、ギリシア系英国人プロデューサーらと。
帰りにリエと待ち合わせ、夕食。

9月5日(火)


朝5時半起床。
シャワーを浴びて迎えのタクシー(6:15)でチャンギ国際空港へ。
7:45発のユナイテド空港852便で成田へ。
15:35着で素早く雑誌を買って天麩羅蕎麦を食べてから16:45発のユナ
イテド800便でニューヨークへ向かう。道中はメラトニンを服用して眠った。
16:00頃到着するが、国連で会議があるためもあって、ケネディー空港は相
変わらずの大混乱。炎天下、かなり待たされた。
中華系シンガポール人女性Cとイエロー・キャブで46丁目のパラマウント・ホテ
ルへ向かう。
タイムズ・スクエアから目と鼻の46丁目、パラマウント・ホテルに。T社のN
社長が。
夕食などの予定を決めてからチェックイン。
ここはポスト・モダンに決めたつもりのカッコつけたダサいホテル。
アメリカ人はやっぱり田舎者なのかな?
ホテルの部屋までの到着は結局、シンガポールの自宅を出てから24時間であ
る。
クライアント一行と中華街で夕食。食後は時差ぼけが辛いという全員がタクシー
2台でホテルへ戻る。
僕は途中、グリニッチ・ビレジで降ろしてもらい、ジャズ・ライブの「スウィー
ト・バジル」に行く。ポール・モティアンのエレクトリック・ビーバップ・バンド
が出演していたが、冴えない演奏。覇気がない。ジャズに覇気はいらないと言う
人もいるかもしれないが、気合の入ってないバンドは駄目なのである。
カウンターでニコニコしているタイ人の陽気な中年バーテンダーからバーボンの
ロックを2杯作ってもらって飲んでから店を出る。
ビレッジは1983年に初めて来た頃と変わらない。17年前にピザを食べた店
が、まだある。
途中でパブに寄ってミラーを飲む。
また歩いているうちに「ビレッジ・バンガード」に出たので中に入る。もう一つ有
名だった「ビレッジ・ゲイト」は随分前に潰れてしまった。僕が1983年にビ
バップのピアニスト、レイ・ブライアントを聞いた店なのだが。
おっと。
「バンガード」の方にはピアノの巨匠トミー・フラナガン御大が出演しているでは
ないか。客はぱらぱらなので、ごくごく近い席に陣取って赤ワインを飲みなが
ら、御大のリリカルなピアノを堪能した。
御大は時々、鍵盤に手を置いて空を仰ぎながら、無限に続くとも思われる沈黙に
沈むのである。
坊主頭の老人だから、中空をに頭を起こして目を閉じて静止すると、本当に死ん
だのかとさえ思えた。
沈黙。
そして静かなイントロ。ベースが絡み、ドラムスが滑り込む。
いい間だった。
時差ボケから何度か意識が遠のくほどに。
演奏後はまたまた46丁目のホテルまで夜のマンハッタンを歩いて帰る。
ワン・ブロックごとに異なる景色を噛み締めながら。
タイムズ・スクエアに出た。
極彩色のネオン、ネオン、ネオン。
ネオンの洪水に安堵感を覚えるのは何故だろう?
ホテルのベッドに肢体を横たえたのは午前3時。
ケーブル・テレビをみながら、うつらうつらする。
長い一日だった。

9月6日(水)


朝8時にN社長とCと朝食。打ち合わせ。
弊社の英国人CEOと中華系シンガポール人経理部長もホテルで朝食していた。マジ
な顔で。N社長と挨拶。
昼は劇場外のサドラーズで摂る。僕はせっかくアメリカにいるのだからと、ハン
バーガーを食べる。
15:00からあるブロードウェイにニューヨーク本社でN社長の通訳として会
議に出席。アメリカ人と英国人のエグゼクティブをお相手に。向こう側の通訳と
して現地雇いの日本人女性が入ったのは、クダンのアメリカ人と英国人の差し金
である。実はこの二人組、このY2K日記の1月12日にロンドンで僕の身に起
きたことの当事者なのである。だから自分の配下の日本人を配してバランスを
取ったのだ。この巡り合わせというのは非常に面白い。
ここには書けない色々な政治的思惑がニューヨークの空でバチバチと放電したの
である。
愉快である。
夜も劇場外のサドラーズで摂り、N社長と同僚Cを無理やり引っ張って「フォッ
シー」を観た。僕は「レニー・ブルース」や「All that Jazz」からのボブ・フォッシー
贔屓だから見たわけだが、迫力あるダンスにN社長も同僚Cも喜んでいた。
芝居がはねてから、タイムズ・スクエア近辺を一人で散歩した。
現金をおろそうとしたが、カードが機能しない。
現金がなければ遊べないではないか。また「バンガード」で巨匠トミー・フラナガ
ン御大のピアノを聞いてこようと思っていたのだが。
諦めてホテル一階でインターネットに入り、会社のEメールを読んで仕事する。

9月7日(木)


5時頃目覚める。
テレビをつけると、BRAVOでゲイリー・オールドマンの特集をやっていた。英国人
でハリウッドの悪役として活躍する、例の個性派だ。
今夜の授賞式のチケットをN社長と手配。
英国人CEOとN社長とタイムズ・スクエアに面した米国本部に行くと、国際CEO
の米国人Bに会う。
12時過ぎにS社長とYさんらと連れ立って32丁目の韓国人街で食事。
思っていたほど旨くない。
ホテルまで歩いて帰り、シャワーを浴びてスーツに着替えてから皆でロックフェ
ラーセンターへ歩く。
授賞式も秒読みとなり、凄い人出だ。
最上階レインボールームへ。
昔のドイツ人同僚と会う。
授賞式チケットの手に入らなかった俺は部屋に帰ってテレビで見た。後で知った
のだが、チケットは一枚捻出され、シンガポール人Cが僕を探していたのだとい
う。
タワーレコードで買い物。
トミー・フラナガンのCDを購入。

9月8日(金)


ホテルのロビー集合で空港へ。
中華系シンガポール人Cは残る。
僕はキャセイで成田に向かう。
JFKでホットドッグにビール。
ニューヨークだろうが、ロンドンだろうが、パリだろうが、東京だろうが、香港
だろうが、デリーだろうが、北京だろうが、空港は一緒だし、出張は一緒だ。
地球は狭くなるばかり。




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