戸田光太郎の2000年日記

2000年10月28日〜31日

2000年
10月28日(土)

タクシーでホーランド・ヴィレジへ行く。
昼はイタリアンを食べる。不味い。
家具を買う。
ショッピング・センターを回った。
家具や絵画を売っている。
中国の女の子の絵が綺麗で買いたくなった。赤い背景や光線の扱いが良い。
ところがその絵は高かった。イギリス人の店員が言った。「あなたのお気に入りが
この店で一番高い絵画だとはね」
リエがダイヤモンドの指輪を欲しいという。イヤリングと合わせると、あの絵画
よりも高い。却下した。
屋上で白ワインと紅茶をする。樹木に囲まれてなかなか良い雰囲気の屋上だ。
タクシーで移動し、チャイナ・ガーデンを散歩。
樹木が美しい。
ちょっと疲れる。
先日見付けた大丸のインドネシア・マッサージにかかる。リエを担当したSATIが良
かったようだ。僕の担当は太ったインド系女性で、平均点。
なかなかバタン島のスパのレベルはない。
大丸の地下でラーメンと寿司。冷酒を飲む。

10月29日(日)


疲れていてとても眠い。
僕は会社に行った。
戻ってくると寝てしまった。
最近、色々と読んだ。
福田和也「作家の値打ち」◎。試みとして非常に面白かった。僕に言わせれば村
上春樹は過大評価。大江健三郎は的確。
林真理子「ロスト・ワールド」○。日本のTVドラマ脚本家が主人公。福田和也の
評価はぼろぼろだが、やはり林真理子の現代風俗小説は上手いと思う。渡辺淳一
のインチキ風俗とは違う。渡辺は男に都合のいい女しか描けない。男も張りぼ
て。林の書くものには生身のイヤラシイ女がいる。女は、生身でイヤラシイ存在
だから、男には可愛いのだけどね。
野田知佑「旅へ」○。彼の著書では一番面白かった。やはり激しく頑固で孤独な
青年だったのだ。
永倉萬治「黄金バット」◎。後半ダレるが、熱い青春が羨ましい。初期キッドブ
ラザーズのペーター佐藤は死んだ。主催者東も死んだ。永倉も今月死んだ。
村上春樹&柴田元幸「翻訳夜話」○。第一章と二章は特にいい。翻訳のプロが対
談に加わった三章は両人とも身構えたためか詰まらない。
柴田元幸「愛の見切り発車」×。途中下車していた本だが、「翻訳夜話」の前半
が面白かったので、また読んでみる。が、駄目だ。柴田元幸の文には芸がない。
外国文学紹介という僕の最も好むテーマの本なのに退屈した。知ってる作家につ
いて書かれた章でさえ注意が集中できなかった。これが植草甚一だったら、見知
らぬパルプ・フィクションのライターについて書いても読ませる紹介文を書くだ
ろう。この人の訳文を読むのが恐い。どうせ英語なのだから原文で読めばいい
か。
吉本隆明&辺見庸「夜と女と毛沢東」○。題名が秀逸な対談集だ。特に夜の項目
が面白く、女は詰まらなかった。後半はがたがた。

10月30日(月)


忙しい。誰もいない時間帯に早朝出社して集中するが、すぐ時間は経ってしま
う。
11時に会議。後は色々なことに忙殺される。
18時にリエから電話がある。
オーチャード通りまで来ていてハラペコだという。ハラペコ時のリエほどデスペ
レートな人間はこの世にいない。限りなく仕事はあったが、家でやることにして
「実質を取って高嶋屋の『とん吉』はどう?」同意を得たので付け足した。「お
つまみ注文して先にビールでも飲んでいて」
で、怒涛のごとく帰ったが、19時を回った。
彼女はオクラとコロッケで一杯やっていてご満悦。僕はヒレかつ定食にビール、
彼女はヒレかつ丼を注文する。
おつまみで腹八部目になっていた彼女の残飯処理までした腹裂け寸前。
丸善を逍遥してからセール中のブティックにひっかかってリエにワンピースを買
う。
満腹で買い物をしていると満面に笑顔のリエは、帰宅すると早速ファッション
ショーを開催してくれる。
僕はショーが終わるとラップトップで延々と仕事した。
午前一時には眠る。

10月31日(火)


午前5時に目覚める。ビールを飲みながら書斎を片付けた。ごみを捨ててもう一
本ビールを飲んで仕事。
早朝出社する。
会社の位置するビルで、いつも中国粥を朝食としていた店が昨日に引き続いて閉
まっていた。夜逃げだと思う。
10時にS社と会合。
香港にいる英国人上司と電話で打ち合わせ。
Eメールを数通書く。
香港から出張しているN社のH氏と会合。明後日の夜には香港に飛ぶ、と伝え、
再会が出来るといい、という成り行き。
香港の英国人上司Cとやりとり。東京のN社長と詰める。
どたばたと明日からの東京半日出張の準備に追われ、気がつくとフィリピンから
2人を引き連れたオランダ人Pが僕の個室を訪れ、挨拶。全員でS社で打ち合わ
せ。
S社からは香港チャイニーズ美女Sと中華系シンガポール女性Tに日本人男性
S。
この日本人男性とは今晩19:30にもう一度改めて会うことになる。
やれやれ。
帰社して雑務処理。
リエから電話がある。今日は遅くなると伝える。
秘書の中華系シンガポール女性Pが出張手配を終えていた。
英国人女性で僕の元直属上司だったSと契約書の件を話しながらビルを出て、S
社に駆けつける。
日本人男性Sと中華系シンガポール女性Tを前にパワーポイントのプレゼンテー
ションをする。
夜10時に出来あがる編集テープを東京に運ぶ件がまだ明確ではなかったが、
MRTで帰宅する。リエの炊いたご飯でキムチとビール。
中華系シンガポール人女性Cから携帯に電話がある。
空港行きのタクシーを局に走らせてビデオを拾ってから空港に向かって欲しい、
というものだ。
担当のタクシー運転手に連絡して確認してリエが半分荷造りしてくれたオーバー
ナイトのケースに荷を詰めてタクシーに乗り、タンジョン・パガーにあるテレビ
局の地下で中華系シンガポール人女性Cからテープを受け取り、チャンギ空港に
向かった。
こんなドタバタな毎日でいいのだろうか?



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